プロセスを丁寧に解説!中学校数学

プロセスを理解すると自分で考えて問題を解くことができるようになります。

1 整数の性質(中1) 素因数分解の活用1

45の約数を全て答えられますか

小学校5年生の算数の授業で「約数」を学習しました。ある整数の約数とはその整数を割り切ることができる整数のことで、1とその数自身も約数であると学習しました。
ある整数という言葉を45に置き換えると、45の約数とは45を割る切ることのできる整数ということになります。つまり、45の約数を小さい順に答えると、1、3、5、9、15、45となります。
同じように考えると、60の約数を小さい順に答えると、1、2、3、4、5、6、10、12、15、20、30、60となります。
45や60くらいの数の約数ならば簡単に答えられそうですが、大きな数になるとすべての約数を求める作業は大変です。

そこで今回の解説では、素因数分解を利用して簡単に約数を求める方法を解説します。60の約数はもうわかっていますが、これを素因数分解を利用して求めてみましょう。
60を素因数分解すると、60=2\times 2\times 3\times5 、つまり 60=2^2\times 3\times5 となります。素因数分解の結果から 2、3、5 は60の素因数であることがわかります。つまり60は 2、3、5 で割り切ることができるということですから、この3個の整数は60の約数です。また、1はすべての数の約数ですから1も60の約数です。
では残りの約数 4、6、10、12、15、20、30、60 はどのようにして求めるとよいのでしょうか。
その答えは、残りの約数を素因数の積で表した 4=2\times2 6=2\times 3 10=2\times 5 12=2\times 2\times 3 15=3 \times5 20=2 \times 2\times 5 30=2 \times 3\times 5 という式の中にあります。なぜ素因数を掛け合わせた数が60の約数となるのかを下の図にまとめました。

素因数分解を利用して、72の約数をすべて求めてみましょう

上の2つの例のように、素因数分解を利用すると約数を簡単に求められることがわかりました。さらに、素因数分解を利用すると公約数や最大公約数も求められます。

60と72の公約数と最大公約数を求めてみましょう。
公約数と最大公約数の意味を確認しておきましょう。
60と72に共通している約数を、60と72の公約数といいます。
60と72の公約数の中で最大の数を最大公約数といいます。

60と72の約数がわかっている場合は、共通な約数を選べばそれが公約数です。また一番大きな約数が最大公約数です。

60と72の約数がわかっていない場合は、下のように60と72を同時に割って素因数分解します。同時に割ることができる数がなくなったら素因数分解を終了します。2 2 3 が60と72に共通する素因数ですから、この3個の数から公約数と最大公約数を求めます。

今回の解説内容と次回の予告

今回は素因数分解を利用して、約数、公約数、最大公約数を求める方法を解説しました。
次回は整数の性質(素数素因数分解 素因数分解の活用)に関する問題を提示し最後に解説をします。