1 整数の性質(中1) 練習問題
今回は整数の性質に関する練習問題です。
整数の性質(中1)では、素数の意味や素因数分解、素因数分解を利用した約数の求め方を解説しました。解説を読むだけではなく実際に解いてみることも大切です。
今回は練習問題を準備しましたので解いて見て下さい。解答は最後の方にあります。
素数に関する問題
30から50までの自然数のうち、すべての素数を答えなさい。
※素数とは1とその数自身の積の形でしか表すことのできない自然数のことです。
素因数分解に関する問題
次の2数を素因数分解して累乗の指数を使って表しなさい。
(1)252
(2)540
約数に関する問題
素因数分解を利用して、次の2数の約数を求めなさい。
(1) 90の約数
(2) 175の約数
素因数分解を利用して、次の2数の公約数と最大公約数を求めなさい。
(1) 42 180
(2) 72 132
文章問題
長さが140cmと196cmのロープが1本ずつあります。どちらのロープも残りが出ないように切って同じ長さのロープを作ろうと思います。
ロープをできるだけ長くするには、ロープ1本の長さを何cmにするとよいでしょうか。また、ロープは全部で何本できるでしょうか。
ここから解答です
素数に関する問題
30から50までの自然数のうち素数であるものは、31 37 41 43 47 の5個です。
素因数分解に関する問題
(1)
(2)
約数に関する問題
(1) 90の約数 1 2 3 5 6 9 10 15 18 30 45 90
(2) 175の約数 1 5 7 25 35 175
(1) 42と180の 公約数 1 2 3 6 最大公約数 6
(2) 72と132の 公約数 1 2 3 4 6 12 最大公約数 12
文章問題
ロープ1本の長さは28cm ロープは全部で12本できる
長さが140cmのロープを残りが出ないように切ってできるロープの長さは140の約数。
長さが196cmのロープを残りが出ないように切ってできるロープの長さは196の約数。
長さが140cmと196cmのロープを切ってできるロープの長さは同じなので、その長さは140と196の公約数。
できるだけ長くするという条件から、ロープ1本の長さは140と196の最大公約数。
140cmのロープからできる28cmのロープは5本。
196cmのロープからできる28cmのロープは7本。
よりロープは全部で12本できます。
次回は...
次回からは、正の数、負の数についての解説をします。
計算問題で躓いている人を見て見ると、その原因が正の数、負の数を理解できていないことにある場合があります。中学校1年生の学習内容ですが重要な内容です。
どうぞこの解説を役立ててください。
1 整数の性質(中1) 素因数分解の活用1
45の約数を全て答えられますか
小学校5年生の算数の授業で「約数」を学習しました。ある整数の約数とはその整数を割り切ることができる整数のことで、1とその数自身も約数であると学習しました。
ある整数という言葉を45に置き換えると、45の約数とは45を割る切ることのできる整数ということになります。つまり、45の約数を小さい順に答えると、1、3、5、9、15、45となります。
同じように考えると、60の約数を小さい順に答えると、1、2、3、4、5、6、10、12、15、20、30、60となります。
45や60くらいの数の約数ならば簡単に答えられそうですが、大きな数になるとすべての約数を求める作業は大変です。
そこで今回の解説では、素因数分解を利用して簡単に約数を求める方法を解説します。60の約数はもうわかっていますが、これを素因数分解を利用して求めてみましょう。
60を素因数分解すると、 、つまり となります。素因数分解の結果から 2、3、5 は60の素因数であることがわかります。つまり60は 2、3、5 で割り切ることができるということですから、この3個の整数は60の約数です。また、1はすべての数の約数ですから1も60の約数です。
では残りの約数 4、6、10、12、15、20、30、60 はどのようにして求めるとよいのでしょうか。
その答えは、残りの約数を素因数の積で表した という式の中にあります。なぜ素因数を掛け合わせた数が60の約数となるのかを下の図にまとめました。
素因数分解を利用して、72の約数をすべて求めてみましょう
上の2つの例のように、素因数分解を利用すると約数を簡単に求められることがわかりました。さらに、素因数分解を利用すると公約数や最大公約数も求められます。
60と72の公約数と最大公約数を求めてみましょう。
公約数と最大公約数の意味を確認しておきましょう。
60と72に共通している約数を、60と72の公約数といいます。
60と72の公約数の中で最大の数を最大公約数といいます。
60と72の約数がわかっている場合は、共通な約数を選べばそれが公約数です。また一番大きな約数が最大公約数です。
60と72の約数がわかっていない場合は、下のように60と72を同時に割って素因数分解します。同時に割ることができる数がなくなったら素因数分解を終了します。2 2 3 が60と72に共通する素因数ですから、この3個の数から公約数と最大公約数を求めます。
今回の解説内容と次回の予告
今回は素因数分解を利用して、約数、公約数、最大公約数を求める方法を解説しました。
次回は整数の性質(素数と素因数分解 素因数分解の活用)に関する問題を提示し最後に解説をします。
1 整数の性質(中1) 素数と素因数分解2
30を素因数分解すると...
30を素因数分解すると 30=2×3×5 となります。
簡単な数ならば割と簡単に素因数分解をできますがそうではない場合もあります。そのようなときには、素因数分解をする数を下のように素数で割っていくという方法があります。下では30を素因数分解する場合を例にしています
こんな方法、誰でも知っているよといわれそうです。でも、この基本的な方法こそが大切なのです。どのような複雑な問題も基本的な事柄の積み重ねで出来ています。難しいと感じたら基本はどうだったかなと振り返ると良いのです。
72を素因数分解してみましょう
90、252を素因数分解してみてください
答えはこの記事の最後の方に載せています。
累乗と累乗の指数について
や のように2を3回、4回と繰り返し掛けるとき、 や のように表すことができます。 や のように2を何回か掛けたもの全体を2の累乗といいます。
右上についている小さな数字は掛け合わせた数の個数を示し、指数といいます。
累乗と累乗の指数についてまとめると次のようになります。
72を素因数分解した結果は、 でした。
これを累乗の指数を使って表すと、 となります。
素因数分解の結果を累乗の指数を使って表してみましょう
168と180をそれぞれ素因数分解をして、その結果を累乗の指数を使って表してください。答えはこの記事の最後の方に載せています。
90、252を素因数分解した答え
90、252を素因数分解すると
累乗を使って素因数分解の結果を表すと
168と180の素因数分解の結果を累乗の指数を使って表した式
今回の解説内容と次回の予告
今回は簡単に素因数分解をする方法、累乗と累乗の指数について解説しました。
素因数分解の結果を累乗の指数を使って表す方法を解説しました。
次回は素因数分解を利用して、指定された数の約数を求める方法を解説します。
1 整数の性質(中1) 素数と素因数分解1
最初は自然数の確認から
ものの個数は1個,2個,3個とか1本,2本、3本などと数えます。また順番を示すときには1番目、2番目、3番目などのようにいいます。このように、ものの個数を数えたりものの順番を示したりするときに使われる数 1,2,3,4,5,・・・ のことを自然数といいます。
今回の解説では自然数という用語が何度も出てきます。自然数がどのような数なのかを確認できたところで本題に入りましょう。
たとえば24を2個の自然数の積の形で表すとすると、3×8という形が考えられます。8×3という形も考えられますが、この2つの形は数字が入れ替わっているだけなので同じと考えます。
自然数24をいくつかの自然数の積の形で表すとすると、1×24 2×12 3×8 4×6 2×2×6 2×3×4 2×2×2×3 の7通りの表し方があるとわかります。
自然数24をいくつかの自然数の積の形で表そうとすると、その表し方は7通りありましたが、自然数19をいくつかの自然数の積の形で表そうとすると1×19という形しかありません。
ある自然数をいくつかの自然数の積の形で表そうとするときに、自然数19のように1とその数自身の積の形でしか表すことができない自然数を素数といいます。
※ 1は素数ではありません。注意しましょう。
1とその数自身の積の形でしか表すことができない自然数を素数というのでした。例えば10という自然数は 1×10 2×5 のように2通りの表し方があるので素数ではありません。
このようにして順に調べていくと、10から20までの自然数のうちで1とその数自身の積の形でしか表すことができない自然数は 11(1×11) 13(1×13) 17(1×17) 19(1×19) の4個だけだとわかります。つまり10から20までの自然数のうちで素数は4個あります。
素因数と素因数分解
自然数24は 3×8 2×3×4 2×2×2×3 のようにいくつかの自然数の積の形で表すことができました。3×8 2×3×4 には素数ではない自然数が使われていますが、2×2×2×3には素数しか使われていません。
2×2×2×3のようにある自然数がいくつかの素数の積の形で表されているとき、その1つ1つの素数をもとの数の素因数といいます。
また、自然数24を24=2×2×2×3のように素因数だけの積の形で表すことを、24を素因数分解するといいます。
18 56 を素因数分解してみましょう
18を素因数分解すると、18=2×3×3または18=3×2×3という形が考えられます。答えが2つあるように見えますが、書き並べる素因数の順序の違いを考えなければどちらも同じです。
56を素因数分解すると、56=2×2×2×7となります。書き並べる素因数の順序を指示されていなければ、56=7×2×2×2と答えても正解です。
今回の解説内容と次回の予告
今回は自然数、素数、素因数、素因数分解について解説しました。また、実際に素因数分解ができるようになりました。
次回は素因数分解をする方法についてもう少し具体的に解説します。また、累乗や指数の意味について解説します。
基本的な事柄を理解すると数学は楽しくなる!
私がブログを始めようと考えた理由
今はもう定年退職をしていますが、私は教員養成課程のある大学に入学し数学科で学びました。数学が得意だったわけではありませんが、数学にはなにか可能性があるような気がして数学を選びました。高校時代は教科書や参考書に書かれていることを一生懸命に覚え問題を解いていました。
私は、大学で受けた一般教養の数学の講義である発見をしました。専門科目とは異なり簡単な内容でしたがとても興味深いものでした。問題を解いていくときに、さりげなくその解き方の根拠となる事柄も説明していました。それまでにそんな風に教えられたことはありませんでしたし、自分でも根拠となる事柄など考えたこともありませんでした。教科書や参考書の説明通りに解くだけでした。その時、これまでにこんな風な授業を受けていたらもっと深く楽しく理解できていたのではないかと思いました。
自分が教師になったときに、この講義をして下さった教官のような授業を心掛けたら数学が楽しいとか数学が好きという生徒が増えてくれるのではないかと思いました。数学は好きではないと思っているだけで本当は好きで得意なのかもしれないということに気付いてくれる生徒が現れるのではないかと思いました。
大学の講義を受けて大切にしたいと思ったこと
三角形の面積を求めるには、(三角形の面積)=(底辺)×(高さ)÷2という公式を利用します。なぜこの公式を使うと三角形の面積を求めることができるのでしょうか。
公式を導き出した過程を説明されるとなるほどと理解することができます。過程を理解できている場合はその解法を利用すればよいのですが、そうでない場合は、よくはわからないけれど公式を使ったら答えが出たということになります。よくわかっていないのに答えを出せてしまうというのはどうなのでしょう。解き方の根拠を理解した上で答えを出せてこそ更に複雑な問題も解けるようになっていくのではないでしょうか。
数学が苦手な生徒の誤解答の原因には基本的な事柄を理解していないというものがあります。躓いた時点でその躓きを解消していたならば苦手な時期はなかったかもしれません。答えを簡単に出す方法だけでなく、その方法で解くことができる根拠を理解することが大切だと思いました。
このブログで伝えたいこと
このブログでは、中学校数学の問題をなぜそのように解くのかということを理解してもらえるように、答えが出るまでのプロセスを丁寧に解説していきたいと考えています。今現在中学生あるいは中学生ではないけれども中学校数学に興味があるという方に読んでいただきたいと考えています。問題を解く上での根拠となる事柄やプロセスを大切にしようとする気持ちが解き方を理解する第一歩だと思います。数学がわかるようになると楽しいということ伝えていきたいと考えています。